鼠径ヘルニアの日帰り手術
当院では成人の鼠経ヘルニア手術に、Kugel法(クーゲル法)という手法を用いています。これは形状記憶の人工素材を使う手法で、再発率が1%以下であり、筋膜を縫い縮めたりしないため痛みがとても少ないという特徴を持っています。それにより、日帰りで手術を受けていただくことが可能になっています。
手術自体は15~20分程度で終わり、その後リカバリールームで2~3時間お休みいただけば徒歩でご帰宅できます。ただし当日はご自身でのお車の運転はできませんので、公共苦痛期間をご利用いただくか、ご家族などの送迎が必要になります。
また、当院では内部の縫合では溶ける糸を使用し、手術を行う際の皮膚の小さな傷口は、特殊な生体用瞬間接着剤で固定しているため。抜糸や消毒の必要がありません。当日のご帰宅後は慣れたご自宅で安静に過ごしていただき、翌日からはほぼ通常通りの生活が可能になります。そして、手術後は24時間、夜中でも早朝でもお問い合わせいただけたらすぐに対応できる体制を整えていますので、ご安心ください。
入院がともなう手術の場合、費用は入院費が大きな割合を占めているため、入院の必要がない日帰り手術では費用も軽減できます。日帰り手術は、お身体への負担だけでなく、時間・経済・心理といったさまざまな面でメリットがあるのです。
当院では土曜日や日曜日の手術も可能ですから、お忙しくてなかなかスケジュールを作れなかった方でも手術を受けることができます。
日帰り手術の年齢制限
鼠経ヘルニアは乳幼児から高齢者まで、幅広い年代の方が発症します。また男性に多い傾向があるとはいえ、女性にも珍しくない病気です。
鼠経ヘルニアを根本的に治すためには手術が不可欠ですが、乳幼児からご高齢の方まで問題なく手術を受けることができ、年齢制限はありません。
ただし小児の手術では、成長途中であり、体型の変化が見込めるため人工の異物であるメッシュを用いた手術を行っていません。小児では高位結紮という手法を用いた日帰り手術を行っています。こちらもお身体への負担を最小限に抑えた手術です。
高齢の方の場合もほとんどの場合は日帰り手術が可能です。抗凝固剤や抗血小板剤などの血液をサラサラにする薬を服用されている、あるいは血液の病気があって血が固まりにくい場合、そしてお一人住まいの場合などでは、連携病院への1泊入院をおすすめすることもあります。
手術後の傷跡や違和感について
当院の鼠経ヘルニアの手術では、皮膚にできる傷口が3~4㎜程度です。縫合しないですむため、きれいに早く治り、時間が経過すると傷跡は目立たなくなります。また、メッシュを用いることで筋肉を無理に寄せて縫合することがないため、痛みや突っ張るような感じはなく、違和感もほとんどありません。
さらにメッシュ挿入の際に神経が走っている部分に触れないようにすることで術後の疼痛なども起こりにくくなっています。
手術の最後に30時間ほど効果が持続する局所麻酔を行うので、痛みのピークとなる当日と翌日を楽にお過ごしいただけます。また、1週間分の鎮痛剤をお渡ししますので、局所麻酔が切れて痛みを感じるようでしたらそれを服用してください。当院で手術を受けた患者様の場合、1回の服用程度で痛みが気にならなくなるケースがほとんどを占めています。